取材記No.30「福島県 阿武隈の里山をウルシの里へ!植栽管理(酒井産業(株)・(一社)阿武隈牛の背ウルシぷろじぇくと)」同行記(2026.7.15-16)
阿武隈牛の背ウルシぷろじぇくとは、生活クラブが取り扱う木工製品の提携生産者である、酒井産業(株)の酒井さんと、生活クラブにゆかりのある方々が発起人となり進めている活動です。
東京電力福島第一原発事故により放射性物質に汚染された阿武隈地域にウルシの苗木を植え、里山の再生や、ウルシの持久力アップを目的に活動しています。
また、阿武隈地域ではもともと原木椎茸の栽培が盛んでしたが、放射能汚染によって、現在も出荷制限がかかり、地域の生業がなくなり、耕作放棄地がどんどん増えてしまっていることに対し、ウルシの植栽で地域の新しい生業を作ることも目的にしています。
本企画は、2024年の春からスタートし、今年で3年目となります。
初年度は植栽と下草刈りを春夏・秋冬で1企画ずつ実施しましたが、2025年からは、春夏企画では8月を除く毎月の下草刈り、秋冬企画では下草刈り、開墾、植栽を行っています。

初日、参加者はまず、放射線や復興の歩みを学べる「コミュタン福島」の見学を行い、阿武隈牛の背ウルシぷろじぇくと代表の内野氏の自宅兼作業所を見学させていただきました。
ぷろじぇくとの発起人は3人とも、福島在住の方はおらず、作業のたびに福島と自宅を往復していました。そんな中でついに内野氏が門沢地区の古民家物件を購入、リフォームを行い、自宅兼作業所に改造されました。作業所では、ウルシの苗木の仮植えも行っています。


翌朝からは早速下草刈り。
基本的には草刈り機で一気に刈っていきますが、ウルシのすぐ近くは機械が入ることができない為、手作業での手刈りです。参加者は、3mごとに植えられたウルシの周り約50cm程度を手鎌で刈っていきます。刈った後は、ウルシの暑さ対策と乾燥対策で、刈った下草をウルシの根元に覆っておく。この作業の繰り返しです。


圃場分全ての草を手刈りするのかと思うと途方もないですが、ウルシの周りを刈っていくので、思っていたより大変な作業ではなかった印象です。
もちろん、日光を遮るものは何もない場所ですので、気温が高い7月の作業は、全員汗だくになっての作業で、熱中症には十分気を付けながら作業を行いました。
そして、草刈り機できれいに刈り取られた圃場にウルシの木が立ち並ぶ姿は壮観で、達成感のあるものでした。


ぷろじぇくとでウルシを植栽する場所は耕作放棄地になっているところですが、当たり前ですが放棄地だからと言ってどこでも勝手に植えていいわけではなく、圃場主を当たって一軒一軒趣旨の説明をして、理解を得られた圃場に植栽しています。
その為、圃場の場所が離れており、今後さらに圃場が増えて、協力者が増える場合に備え、各圃場のマッピングが必要、とお話されていました。
また、発起人の3人は、全員植栽経験者ではありません。まさにトライ&エラーの繰り返し。
初年度に植栽した500本は、遅霜やイノシシの害で、2本しか残らず全滅したそうです。それでも笑うしかない、やるしかない、と翌年から毎年2000本を目標に定植を続けています。
ウルシは樹液をかけるようになるまで15年が必要です。
長期のぷろじぇくとに気持ちが続くか不安がある中、遠方から来てくれる夢都里路くらぶの参加者や、近隣で支えてくれる生活クラブ福島の組合員に大きく支えられている、と酒井氏がお話しくださいました。
また、人にこの活動を説明する際には、未来を作る活動です、と伝えるのだと内野氏が仰っていました。

その未来を作る活動に自分も関わっていきたい、と、繰り返し参加するリピーターの方が増えてきています。
下草刈りは、地味で大変な作業ですが、植物を育てる上では必須の作業です。
まだ参加したことがない方は、是非ご参加いただきたいです。
きっと、「未来を作る活動」に関わる魅力を感じられると思います。
