取材記No.012

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「一年中作業がいくらでもあることがよくわかった!」~「ミカン作りの夏(和光農園グループ)」同行記(2014.9.24)

和光農園グループは和歌山県南部、有田の隣りの海南市でミカン作りをしているグループです。急峻な斜面に、古くから石垣を積んで段々畑が作られ、ミカン栽培がおこなわれてきました。グループ名は、小さくても和歌山で光る存在になろう、と「和光」と命名されました。エスコープ大阪の前身泉北生協とビワの、生活クラブ神奈川とみかんの取り組みから、生活クラブ連合会の提携産地(コア産地)となり、現在は5軒の農家がグループに入り、持続可能な農業をめざしています。

急峻な斜面 11月からはいちめんミカン色に

夢都里路くらぶの初めての受け入れは、ミカンの収穫が始まる前の10月後半、大阪から女性2人が参加し、木の周りの草取りや、枝切り、摘果などを中心に行われました。

若木がゴマダラカミキリ虫にやられないよう、根元の草をしっかり取ります

ミカンの木は、近年ゴマダラカミキリムシによる被害が多く、卵を産み付けられ放っておくと、幼虫が木の内部を食いつくし、ミカンの木を枯らしてしまうので、草取りは、特にゴマダラカミキリムシによる被害を探しながら行います。また草取りをすると同時に、黒点病を防ぐため枯れ枝を切ったり、剪定作業(いちばん先に伸びている枝だけを残す)も行いました。

ミカンの幹の穴からゴマダラカミキリ虫の幼虫を見つけました

7,8年前からはイノシシによる被害も目立ってきたそうで罠も仕掛けてありました。写真の食い散らかしたミカンは、何とイノシシによるものだそうで、皮を残して中身を食べていくのにはビックリです。対策として畑の周囲に支柱を立て、電線を2重に張って電気柵を作る作業も体験しました。
清見ミカンの摘果と、袋かけの作業も行いました。袋はここでは作業の効率が良いことと、使い回しができることから、ストッキングタイプのものを使っていました。袋かけはヒヨドリやカラスの被害を防ぐことと、寒さよけのために行います。

皮をむいてミカンを食い荒らしたのは誰? 答えはイノシシ

ミカンには一般的にヘタ落ち防止のために、ホルモン剤を使うことが多く、また表面に黒い点がつく黒点病の予防にジマンダイセンという農薬を使い、さらに腐らないよう防腐剤、そして色づきが悪ければエチレンガスをかけて黄色くする、というような手段が取られます。
それに対して和光農園グループでは、全員エコファーマーを取っていて、化学肥料は使わず、魚粉、菜種かす、カニがら、草木カリ、EMぼかしなど100%有機肥料を使っています。有機肥料は価格も高く、量も多く必要となって労力もそれなりに必要ですが、「健康で元気な土を作ること」をモットーに、人にも環境にもやさしい農業を目指しています。

さらに、温暖な気候を利用して、みかんを始め、清見オレンジ、アボカド、グレープフルーツ、ホワイトサポテなどの栽培に挑戦、アボカドはデポーでの取り組みも始まりました。

和光農園で栽培しているアボカドの木

後継者も今年1人若者がグループに加入して、これからも産地として生き残りをかけた挑戦が続きます。
ミカンは収穫や摘果以外にも1年中作業がいくらでもあることがよくわかった作業参加でした。
(夢都里路くらぶ事務局 長谷川)

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