取材記No.29「会田養鶏の採卵と鶏舎管理体験((農)会田共同養鶏組合)」同行記(2026.6.13-14)

(農)会田共同養鶏組合は、1976年に提携開始し、生活クラブ長野をはじめ関西地域の生活クラブ、福祉クラブの鶏卵を生産するほか、温泉たまごや一部地域に平飼いたまごを供給し、平飼い、ケージ鶏舎合わせて約28万羽の鶏を生育しています。

大きな特徴の一つに、自前の飼料工場を保有していることがあります。飼料会社に原材料を問合せても回答を得られないことから、自分たちで中身の明らかな飼料を作ろう、と1972年に建設しました。当時、鶏卵業界で自前の飼料工場を持つところはほとんどなかったそうですが、飼料の高騰が続く現在、自前で飼料を作ることで、コストダウンと経営の安定化をはかれているそうです。

工場では毎日朝3時から午前中の間に飼料を製造し、できた飼料は3~4日以内に全ての鶏舎に回ります。飼料メーカーから仕入れる場合は約1週間分を一気に入荷するそうですが、自前の飼料工場を持つ会田養鶏の鶏達は作り立ての新鮮な飼料を毎日食べて育っています。

今回会田養鶏で、体験企画で初めての採卵・鶏舎管理体験企画を実施しました。 現地では高齢化が進み、募集をかけても労働者が集まらない状況があり、まずは産地を知って欲しい、鶏を知ってもらい、関係人口を増やしたい、という思いから企画化されました。

企画初日はオリエンテーションとパッキングセンターの見学、鶏舎の見学を行い、翌日の朝、早速鶏舎に入って作業を行います。
今回は、平飼い鶏舎に入って、採卵と鶏舎管理を行いました。

鶏たちは安心した狭い空間で産卵することを好む為、ケージの端にロッカーのように産卵箱が並んでおり、鶏達は好きな場所で産卵します。産卵箱の奥側の板が開閉式で通路とつながっており、採卵者が通路側から蓋を開けて、採卵を行う仕組みです。

「平飼いたまごの採卵」というと、巣に生み落とされた卵を拾っていくのを想像していましたが、採卵箱の蓋を開けると、産卵中の鶏や生んだ卵を温めている鶏がいたり、中には安心するのか一つの箱の中に何羽も鶏がギュウギュウ詰めになっていることも。 採卵箱の蓋は、鶏が外に出てしまわないよう、通路側から押し開ける仕様ですが、蓋を押しても中に鶏がいるとそれ以上開けられず、あぁ、ここはダメだ・・・次も開かない…その次も・・・と、最初のうちは、蓋すら開けられない状態でした。

ですが、「今朝生まれた卵は今日採卵しないと、明日には傷んでしまうし、採卵日がずれてしまうから廃棄なんですよ。」と言われ、産卵箱にいる鶏達に失礼してぐぐっと押しのけ、採卵する方法を教えていただきました。 開けられないから次・・・なんて言っている場合ではありませんでした。

鶏にも個性があり、手を入れるだけで場所を空けてくれる子もいれば、座ったまま、腕で押しのけても全く動かない子、時には蓋を押すだけでつついたり、中に手を入れようものなら激しく怒って攻撃してくる子もいます。 痛い!ごめん!!などと叫びながら採卵する私たちに、生産者のお2人は笑いながら「最初は皆そうなんだよ~」と言いながらフォローしてくれました。

パッキングセンターでも選別は行いますが、この時点で採卵しながら規格外に大きい物、汚れがひどい物は一次選別します。大きい物は集めて直売所で販売し、汚れがひどい物は加工卵にしたり、直売所で販売しているそうです。

最後まで採卵し終えると、次は各鶏舎の中に入って、巣箱以外で産卵された卵「巣外卵」の回収を行います。巣外卵は加工用卵に回されます。
今回の企画中にはいませんでしたが、巣外卵の回収を行う時、死んでしまった鶏がいないかのチェックや、いじめられて弱ってしまった子がいないかのチェックも行います。
平飼いでは鶏が自由にのびのび生活できていますが、一方で死んでしまう寸前までつつかれてしまう場合や、何かの要因によって鶏がパニックを起こし、一方向に集まってしまった際に、圧死してしまうようなこともあります。

巣外卵の回収を終えて、次は採卵箱の掃除と新しいもみ殻を敷く作業です。この間にも新たに産卵された卵があるので、採卵しながら掃除ともみ殻敷きを進めます。
最後まで敷き終えたら、この時間に採卵できた卵の数を計上して、午前中の作業は終了です。
普段はここまでの一連の作業を1人で行っているそうです。

採卵は午前と午後、一日2回行います。
当たり前ですが、鶏は毎日産卵をし、採卵、お世話をする人も365日休まず作業が必要です。また、企画を実施した6月の長野県は、朝晩はまだ涼しいものの、防疫服を着て鶏舎内で作業していると、汗だくになりました。ここから気温は一気に上昇し、夏はもちろん鶏にとっても危険な暑さですが、中で作業する従業員にとっても過酷な季節になります。
また、鶏インフルエンザも以前は冬だけだったのが、流行時期が広がっており、常に対策に気を配る必要があります。

参加者からも、手元に卵が届くまでにこれほど時間と手間がかかっていることを改めて感じられた、との感想がありました。
鶏舎の中に入って作業することは、普段関わりがない人からすると、人生にそう何度もあることではないと思います。
だからこそ、生産者がまずは体験して欲しい、生産現場を知って欲しい、と思うことも納得できますし、援農の人手として力になれることは少ないかもしれませんが、今後も可能な限り体験企画として、たくさんの方が産地を訪れる機会を作っていただきたい、と思っています。

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