取材記No.27「春の段々畑のみかん山&海体験(西日本ファーマーズユニオン四国(農)無茶々園)」同行記(2026.5.15-16)
愛媛県西予市明浜町に位置する無茶々園は、2005年から生活クラブと提携を開始し、西日本ファーマーズユニオン四国として柑橘を出荷する生産者です。
生活クラブへの出荷は柑橘類だけですが、無茶々園では、柑橘農業だけでなく、海の生産者と連携し、環境保全に取り組みながら、地域全体の産業や文化、生活の維持と発展を目的に活動を続けています。 明浜町の山から海を見下ろす段々畑の景色は、国の重要文化的景観剪定地域にも指定されています。

夢都里路くらぶでは2009年から受け入れを開始し、2012年から現在の「段々畑のみかん山&海体験」を春夏・秋冬両方で実施し、2026年までに延べ100名を超える組合員が産地に訪れています。
夢都里路くらぶ参加者は、初日に無茶々園についてのオリエンテーションを受けます。
(農)無茶々園は、1974年に3名の生産者が柑橘を無農薬で作ることに挑戦したことから始まります。無茶々園の名前は、「柑橘を無農薬で作ることなんて無茶だ」と言われたことにも由来しているそうです。
その後、新規就農希望者の研修と農場運営を行うファーマーズユニオン天歩堂や、山と海の距離が近く農業と漁業の距離が近接しており、「山を守ることは海をまもること」の理念から、近隣の漁師・加工業者と提携。農事法人では海産物の販売ができないことから、(株)地域法人無茶々園を立ち上げ、柑橘や地域の産物の加工、販売などを行っています。
また、地域の高齢化を受け、2013年には高齢者介護を中心とした福祉事業として(株)百笑一輝を立ち上げました。
地域に必要なものを一つひとつ作り上げていく様は、生活クラブにも通じるものがあると感じました。組合員の皆さんにも是非体感していただきたいです。
2日目は援農として、2グループに分かれて河内晩柑の収穫と苗の鉢の草取り、幼木を大きくする為に結実した実を全て落とす作業と、ぽんかんの枝切りを行いました。
段々畑で農作業をしながら、視線を移すとすぐそこに海がある光景は、他の地域ではなかなか見られない絶景です。「山を守ることは海を守ること」が自然に実感できる光景ですが、実際に、地域に無茶々園の生産者が増え農薬を使わなくなったことで海に流出する農薬が減り、海に減っていたフナムシやイカ、タコが増え、豊かな土壌に戻りつつあるそうです。海の生産者と山の生産者が一緒に地域づくりを行う産地は他にはなかなかないので、組合員さんに知って体感してもらいたい、と無茶々園の担当者さんが仰っていました。


3日目は海の作業の見学として、まずは真珠の核入れ作業を見学しました。真珠は、需要はあるが、真珠貝を形成するアコヤ貝で病気が増えているのに加え、核を入れるまでに3年の養殖期間が必要となる上に、核入れされてから製品化できるまでの真珠になるのは約2割、1級品となる真珠は約1割しかない為、生産者が激減しているそうです。また、核入れ作業は職人技で、1ミリのずれでアコヤ貝が死んでしまったり、真珠を吐き出してしまったりする、非常に繊細な作業です。核入れする方の高齢化や人手不足が課題だそうです。


続いて、しらすの加工場の見学と、しらす漁船に乗せてもらいクルーズ体験。しらすはここ数年不漁が続いており、2025年は過去最低だったそう。いつでも漁に出られるよう船のメンテナンスは日々行っていること、不漁の今だからこそ、打開するため加工品の考案を検討している話を伺いました。今行っているチャレンジとして、しらすを使ったピザを製品化する為、生地の発酵から自分たちで行っているそうです。


続いて、すじ青のりの養殖場の見学。ここでいらっしゃったのは、真珠のご説明をいただいた生産者さん。アコヤ貝が減少し雇用が減ってきたことで、なんとかせねば、と真珠のお仕事をしながら大学の研究室にゼミ生として入り、すじ青のりの種苗作りと培養について学んだそうです。現在は第2プラントまで養殖場を広げ、加工も行い無茶々園で粉末の青のりを販売しています。40歳を越えて、まさか自分が理系の研究室に入ることになるとは思いもしなかった、とお話されていましたが、これも、山と海の生産者がともに地域づくりを行う無茶々園の中で、一緒にチャレンジを行える環境だったからこそできたことだと思います。

生活クラブのカタログ上では、西日本ファーマーズユニオンとして出荷される為、無茶々園が柑橘だけでなく、海の生産者とともに地域作りを行っていることを知る機会はそう多くありません。
だからこそ、実際に組合員が産地を訪れ、産地を知り、肌で感じる夢都里路くらぶ企画を、とても大切に思ってくださっています。体験企画の為、援農の作業時間自体は長くはありませんが、産地を知って利用することも、産地を継続させる上でとても重要だと思っています。 まだ無茶々園を訪れたことがない方には、是非一度体感していただきたい企画です。
