取材記No.19
「あっぱれ・はればれ栽培産地の農作業体験((農)村悟空)」同行記(2025.5.17)
千葉県旭市の(農)村悟空は、生活クラブにあっぱれ・はればれ野菜を出荷している青果の生産者です。昨年、新企画として「あっぱれ・はればれ栽培産地の農作業体験」を企画し、今年度2回目となりましたので、企画に同行させていただきました。
作業予定は、人参の収獲・袋詰め作業でしたが、今年は人参の生育が遅く、別の作業になってしまうかもしれない、と事前に事務局の方からご連絡をいただいていました。
当日、「なんとか人参さんが頑張ってくれて(事務局・瀧口さん談)」収穫可能な状態まで育っていたそうなのですが、残念ながら当日は雨と風で大荒れ。無理に畑に入ってしまうと、今後の生育に影響を及ぼしてしまう可能性もある為、残念ながら作業を変更することになりました。

午前中は、前日に収穫し、冷蔵庫で保管していた人参の袋詰め作業を行いました。二人一組になり、人参の先の根(しっぽ)をハサミで切り取り、選別しながら1つ1つの重量を計ります。人参1本の重さ、1袋に入れる個数、1袋の重量、それぞれに規格があり、その規格に沿ったセットを作ります。
セットが出来上がったら、袋詰めし、生産者カードを入れて、袋にテープで封をしたら完成です。


単純作業ではありますが、意外と規格に合った組み合わせにするのが難しく、「ちょっと重かった!今度は足りない!」など、参加者が苦戦する姿が見られます。
また、「ちょっと傷ついてる」「根元がちょっと緑色」など、「うちに届いても気にしないけど、これはどうでしょう?」と生産者に確認すると、だいたいのものが「アウト」
綺麗で変形のない野菜が当たり前になってしまった消費者が作ってしまった基準で、せっかくの作物が規格外になってしまうことを目の当たりにし、少し悲しい気持ちになりました。
規格外の野菜は、加工原料として出荷したり、地元で販売しているそうです。

この日の出荷量は543袋。
全員で約2時間をかけて、出荷量全量の袋詰め作業を終了しました。
普段は近隣の就労継続支援B型事業所の方に作業をお願いしているそうです。
この日は300kg程の作業でしたが、ピーク時の作業量は1日1トンにも及ぶそうで、作業が間に合わない場合は、農作業を終えてから袋詰め作業をすることもあるとのことでした。

あっぱれ・はればれ基準の作物を生育すると、一番の敵は「草と虫」
あっぱれ育ち野菜は、栽培期間中に化学合成農薬と化学肥料を使用しません。昨年は、草取りが追い付かず、何面か「人参の畑だか草だかわからない」状態になってしまい、栄養を草に取られて、収穫ができなかった畑があったとのこと。
また、殺虫剤を使用しない為、せっかくの野菜が虫にやられてしまう危機にもさらされています。
「本当に人手が必要なのは草取りなんだよね」と代表の嶋田さんがお話されていました。
その後、予定にはなかった作業ですが、ハウスで栽培しているピーマンの収獲・袋詰め作業をやらせていただきました。
ピーマンの収穫は、軸が茎の方に残っていると、そこから痛みが出てしまうそうで、軸を残さないように、茎の根元から上に手で押し上げると、ポキッといい音をして、きれいにもぎ取ることができます。

新鮮でツヤツヤ、収穫したてのピーマンを、人参と同じように、軸を切り取り計量と袋詰めを残りの時間で行いました。
ピーマンも、カボチャのように丸くなっているもの、象の鼻のように変形しているもの、どれも可愛く見えますが、これも「アウト」
これだけ手間暇をかけて育ててくれたお野菜、皆が残さず食べる意識を持って、「規格外」の概念がそもそもなくなればいいのに、と個人的な思いですが、感じずにはいられない一日でした。

(夢都里路くらぶ事務局 罇)