取材記No.18

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「ふじりんご、ラ・フランスの摘果作業(JAさがえ西村山)」同行記(2025.5.12~5.13)

山形県の中央に位置するJAさがえ西村山は、2008年に夢都里路くらぶがスタートしてからすぐの、2010年から数年間、りんごや梨の摘果作業、ラ・フランスの収獲作業を企画してくれていました。

当時は宿泊施設や組合員の送迎などが課題となり、企画の継続が難しくなってしまいましたが、今回、約12年ぶりに夢都里路くらぶの受け入れをしていただけることになり、企画に同行させていただきました。

摘果作業は、開花後、結実した実の数を減らすことで、残した実を大きく、品質を良くする為に行います。

りんごとラ・フランスでは実の付き方が異なり、残す実も異なります。

りんごは、中心に1つ、その周りに5~6つの実がつきます。中心の花が一番最初に咲くため、成長が早く栄養が充実している為、摘果の際には真ん中の中心果を残し、周りの実を落とします。

ラ・フランスは、一か所に7~8の花が咲きます。りんごは一番果が中心になりますが、ラ・フランスは一番下が一番果、その後、2番果、3番果と左回りにぐるっと円を描きます。

どの実を残すかは生産者によっても方針が違うそうですが、今回受け入れてくださった生産者では、一番果と一番最後についた実をまずは落とし、残った実の中で一番大きく、茎が長く成長しているものを残し、それ以外を落とします。

どちらの作業も、手が届くところは下から、高さがあるところは脚立に乗って、摘果作業を行います。りんごは幹が真っすぐに伸び、一つの枝に密集して実がついている為、一度脚立に上ると、しばらくそのままの位置で黙々と、取っても取っても終わらないほどの実があります。

対してラ・フランスは、りんごよりも木の背丈が高く、木の幹が曲がりくねっていて、実のつき方にもばらつきがあります。次はあの実を取りたいと思っても手が届かず、一度脚立から降りて位置を調整してから上ると、見つけられなくなってしまったり、脚立の位置調整が難しく、上ってみたら届かない、など、単純作業でありながらも、やはり熟練の技が必要であると痛感しました。

そして、援農作業者は事故があってはいけないので、無理せず上れるところまで脚立に上り摘果していきますが、生産者はそうは言っていられません。

同時に他の作物も生育している為、摘果の期間は約1か月。期間内に全ての木の摘果を終わらせ、次の作業に入る必要があります。

昇降機で木の一番高いところまで上がったり、脚立の一番上に立って摘果作業をされていました。

また、今回は初心者も入りやすいよう、平地の木を選んで作業させていただきましたが、きつい斜面にもびっしり木が植えてあり、全ての木の摘果を終えるまではどれだけの人手と時間が必要なのかと気が遠くなる程でした。

また、りんごは日に当てることで色づきを良くする為、実を日光の方向にくるっと回転させる作業をするそうですが、近年は気温が異常に高くなり、日差しが強すぎる為、日を当てると色づきが良くなるどころか真っ黒に変色してしまうこともあると伺いました。

さらに虫の害や、土の中のミミズなどを追ってイノシシが土を掘り返してしまい、重機が入れなくなってしまうこともあるそうです。

ラ・フランスの収穫期は約1週間とのことで、その時期はお手伝いの方も総出で、まるでお祭り騒ぎだと伺いました。

摘果も収穫も、全てが手作業。本当に人手が必要な作業です。

今回、約12年ぶりに夢都里路くらぶの受け入れを決めてくださった、りんご部会長の伊藤さんは、今回を機に、またこのような援農・交流を続けていきたいとお話してくださいました。
生産者と一緒に作業し、産地を知り、共に産地を作り続けていく組合員が、さらに増えていくことを期待しています。
(夢都里路くらぶ事務局 罇)

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