取材記No.005

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沖縄のさとうきびとTPP (2011.2.7)

2月4日~7日、夢都里路くらぶの「沖縄さとうきびの収穫と製糖工場の見学」が実施され同行しました。
今回、夢都里路くらぶを受け入れてくれたのは、山城さんという40代の農家で、生活クラブにかぼちゃを出荷し、青壮年部の代表をされている方です。

沖縄におけるさとうきびの栽培が、なくてはならない重要な産業である理由は、台風の進路となる沖縄において、米や畑作では全滅することがあるのに対して、さとうきびであれば、収量は減っても全滅することはないからです。
機械による収穫は、竹のようなきびを根本から切り倒すと同時にバリバリと20cm位の長さに切っていきます。収穫物には根や葉が多く混ざることと、(時にはハブも混ざって運ばれることもあるそうです)機械収穫の委託費を引くと、10a当たり、6万円の手取りとなります。
手刈りの場合は、10a当たり6t採れ、栽培に必要な経費を引くと10aで9万円手元に残ります。
そのさとうきびは、1tあたり21500円ですが、そのうち、16320円は、国からの補助金です。つまり外国から輸入される安い砂糖にかけられる関税でやっと成り立っているという構造です。

今、TPP(環太平洋連携協定)の問題が急浮上してきています。これは、ニュージーランド、オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム等9カ国が、農産物や工業製品の原則関税撤廃の自由貿易システムを作ろうと交渉が行われているものです。
これまでの貿易交渉は、コメや乳製品、砂糖など例外品目を協議しながら2国間で進めてきましたが、TPPでは例外なしで一挙に「開国」することを意味します。
沖縄のさとうきびは、1t 21500円のものが、補助金なしで、4000円となったら、必要経費も賄えなくなって作る人がいなくなり、産業として壊滅するでしょう。台風が来ても全滅しないさとうきびが作れなくなったら・・!住む人のいなくなった離島がどうなるかは、これまでの歴史が示しています。
TPPは、農業だけの問題ではなく、金融、労働者の移動、医療、教育、福祉、水道など私たちの生活に直結する数多くの分野に外国(多国籍)企業が参入できるようになるという大変大きな問題です。

TPPについて、わかりやすい冊子がありますので、紹介します。(1冊100円、送料別)
NPOアジア太平洋資料センター

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